電圧降下を電線の長さと太さから計算する
- 降下率—
- 負荷側に届く電圧—
- 許容する降下の上限—
- この条件で収まる最小の太さ—
- 計算の内訳—
電圧降下の計算式【配線方式ごと】
内線規程では、電線のこう長が短い一般的な配線について、次の簡易式を使います。配線方式で定数だけが変わります。
電圧降下の計算に使う記号の意味
e=電圧降下(V)、L=電線のこう長(m)、I=流す電流(A)、A=電線の断面積(mm²=sq)。定数には銅の抵抗率が入っているので、銅線の場合にそのまま使えます。
電線の長さは往復ではなく片道で入れる
式の定数がすでに往復分を含んでいるため、Lには配電盤から負荷までの片道の距離を入れます。ここで往復の長さを入れてしまうと、電圧降下が2倍の値になります。計算を間違えるとしたら、いちばん多いのがここです。
単相3線式の計算は100V側で見る
単相3線式の定数17.8は、中性線と電圧線の間(100V側)の電圧降下を求めるものです。200V側で使う機器を見るときは、単相2線式200Vとして35.6で計算します。
電圧降下はどこまで許容されるか【内線規程】
幹線と分岐でそれぞれ2%以内が原則
内線規程では、幹線と分岐回路でそれぞれ標準電圧の2%以下に収めることを原則としています。100Vなら2V、200Vなら4Vまでです。設計のときはまずこの2%で見ます。
こう長が長いときの電圧降下の緩和
供給する変圧器の二次側から最も遠い負荷までのこう長が60mを超える場合は、こう長に応じて緩和されます。120m以下で5%、200m以下で6%、200m超で7%が目安です。工場や倉庫のように長く引き回す場合はこちらを見ます。
電圧降下の許容は規程であって法令ではない
内線規程は民間の規程で、電気設備技術基準そのものではありません。ただし実務の設計根拠として広く使われているので、これを外す場合は根拠を示せるようにしておくのが安全です。
電圧降下を小さくする3つの方法
電線の太さ(sq)を上げる
電圧降下は断面積に反比例します。2sqを5.5sqにすれば降下は約36%になります。いちばん確実ですが、電線管に入らなくなることがあるので管のサイズも併せて確認します。
単相2線式より単相3線式のほうが有利
同じ電力を送るなら、単相3線式の定数は17.8で単相2線式の35.6の半分です。同じ条件なら電圧降下も半分になります。200Vで使える機器なら200Vにするのも同じ効果があります。
電線の長さそのものを短くする
電圧降下は長さに比例するので、分電盤を負荷の近くに置くのがいちばん効きます。離れた倉庫や屋外に電気を送るときは、途中に分電盤を立てる設計を先に検討します。
電圧降下が大きいと何が起きるか
| 機器 | 電圧が下がると |
| モーター | トルクが電圧の2乗で落ちる。始動できない・うなる・焼ける |
| 照明(LED) | 暗くなる、ちらつく、電源が落ちる |
| 電熱器 | 発熱量が電圧の2乗で落ちる。温まらない |
| 電子機器 | 動作が不安定になる。再起動を繰り返す |
※ 特にモーターは影響が大きく、電圧が10%下がるとトルクは約19%落ちます。始動時は定格の数倍の電流が流れるため、その瞬間の電圧降下はさらに大きくなります。
電圧降下の計算についてよくある質問
Q. 電線の長さは往復で入れるの?
片道です。式の定数が往復分を含んでいます。配電盤から負荷までの距離をそのまま入れてください。
Q. 電圧降下の2%はどこの電圧に対する2%?
標準電圧に対してです。100V回路なら2V、200V回路なら4Vまでが原則になります。
Q. アルミ線でもこの計算式は使える?
使えません。定数は銅線の抵抗率から出ています。アルミは抵抗率が銅の約1.6倍なので、同じ太さなら電圧降下も約1.6倍になります。
Q. 電線の太さを上げたら許容電流も変わる?
変わります。太くすれば許容電流も上がりますが、保護するブレーカーの容量は負荷に合わせたままにします。太くするのは電圧降下への対策で、ブレーカーを大きくする理由にはなりません。
Q. 電圧降下の対策で電線を自分で引き直してもいい?
できません。屋内配線の工事には電気工事士の資格が必要です。この計算は設計の確認や、工事を依頼するときの検討材料として使ってください。
電圧降下の計算と一緒に使えるツール
電圧降下の計算とは
電線の長さ・電流・太さ(sq)から電圧降下を計算するツールです。単相2線式・単相3線式・三相3線式の式に対応し、降下率が許容内かの判定と、収めるために必要な電線の太さも出します。
電圧降下の計算以外の便利ツール
電気工事・設備のツール
そのほかのツール